うつ病のわたしからあなたへ 心レター

うつ病の療養から見えてきたこと、心の病を抱える方やご家族に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。特に、精神疾患での労災について、詳しく説明します。

うつ病の労災事例 看護師寳田都子さんの場合

こんにちは、あやです。

気温が上がったり下がったりと、まさに季節の変わり目で、

体調が悪い方も多いのではないでしょうか。

普段より意識的に休憩を多めにとって、

この時期を何とかやり過ごせるといいですね。

 

さて、今日は私ではなく、別の方の労災事例を紹介しようと思います。

こちらの記事、Twitterでも以前話題になったので、

ご覧になった方もいるのではないでしょうか。

www.kobe-np.co.jp

 

私もこの記事を読んだとき、なんてひどい!と

憤りを感じたことがありました。

労災はそもそも、仕事でケガなどをした人のためにあるものです。

それを「生きていて労災申請するのは図々しい」と言うなんて、

労基署の職員のくせに、労災の基礎も知らんのか!と思った覚えがあります。

 

1.寳田さんとの出会い

先日、この記事で取り上げられていた労災請求人の

寳田都子(たからだみやこ)さんご本人が、たまたまこのブログを見つけて、

Twitterで話しかけてくださいました。

正直、話しかけてこられるまで、この事件のことを忘れていたのですが、

寳田さんのアカウント(@RousaiShien)を見に行くと、

現在裁判中であることがわかりました。

 

さっそくフォローしてみると、DMでブログの感想など

聞かせてくださり、上で紹介した新聞記事のリンクを送ってくださいました。

そこで、ああ!あの人だ!と思い出したわけです。

寳田さんのDMでの文面から、誠実なお人柄が伝わってきて、

また、裁判に至るまでの経緯を知るにつけ、

どうしてこんないい人が、ここまでひどい目に合わないといけないのかと、

あまりの理不尽さに強い憤りを覚えました。

なので、私は寳田さんに頼まれたわけではなく、

自発的にこのブログで本件を紹介したいと思ったのです。

 

2.事件の概要

寳田さんは、香川県高松市で、もともと看護師を長く続けていらっしゃいました。

そのキャリアを買われてのことでしょうか、

とある介護老人保健施設で看護師長として働くように要請されたそうです。

普通に考えれば、良いキャリアアップではないかと思いますが、

そこから地獄が始まったのです。

 

寳田さんがいざ着任してみると、慢性的な人手不足、

多岐にわたる膨大な業務量、そしてノルマ。

寳田さんは長時間労働を余儀なくされます。

 

私も経験したのでよくわかりますが、

人手不足の中で膨大な業務をこなす、しかも毎日という状態になると、

仕事だけの生活になってしまいます。

趣味に使う時間もなく、心身ともに極限まで疲れ果ててしまうのです。

 

当然の帰結として、寳田さんは心身に不調をきたしてしまいました。

そんな中、ノルマが達成できていないと上司から叱責を受け、

退職勧告同然の降格処分を言い渡されます。

そのことで、決定的な不調になり、病院を受診。

急性ストレス反応」と診断されます(のちにうつ病)。

 

医師から休職を勧められた寳田さんは、仕事を休み、

休職中に労災申請をしました。

その後、復帰の見込みが立たずに退職。

労災申請した際の、高松労基署のひどい対応は、

最初に紹介した新聞記事のとおりです。

労災も不支給という裁定がされました。

 

労災が認定されなかったのを不服として、

寳田さんも私と同じように、審査請求、再審査請求と手続きを進めましたが、

最後まで「棄却」の判定でした。

そこで、裁判に踏み切ったのです。

 

ただ、残念なことに、高松地裁では敗訴し、

現在は高松高裁で争っておられます。

 

詳しい経緯は、寳田都子さんの支援者のHPで見られます。

akenohoshi-rousai.com

 

3.私が本件を紹介したわけ

私は、寳田さんの事例を見て、明らかに労災であると思いました。

 

長時間労働(100時間超)

・業務量の増加

・退職勧告に等しい処分

 

業務量の増加は、寳田さんが着任した時期からいつまでを指すのかの

判断が分かれるところかもしれません。

でも、100時間以上の長時間労働は、いわゆる一発労災ですし、

退職勧告に等しい処分は、それだけでもかなりの心理的負荷と

判断されないとおかしいのです。

明らかに、労災認定の基準を満たしていると思います。

 

それなのに、なぜ再審査請求に至るまで、

一貫して認められないのか、理解できません。

 

また、地裁の判決も不当なものだと思います。

ここまで明らかな労災案件が、なぜ裁判で認められないのでしょうか。

 

そして、何より、うつ病を抱えながらの労災申請や

その後の手続きは、相当な負荷がかかりますし、

はっきり言って、治療の妨げなんです。

それを押して再審査請求までやったというのに、

棄却の判定は許せません。

ましてや、裁判を行うなんて、どんなに労力がかかっていることでしょう。

 

私は、寳田さんががんばっているから、この記事を書いているわけではありません。

労災実務として、あまりにもおかしい、看過できない案件であると

感じたからです。

 

そういえば、私がお世話になった弁護士さんも言っていました。

自分が担当した労災事案でも、おかしな判定は山ほどあると。

私は、この事件を知り、おかしな労災実務の一端を垣間見た気がしました。

 

寳田さんは裁判まで進んでおられますが、

そこまではやれないと、審査請求や再審査請求を

諦めて、泣き寝入りしている人が山ほどいると感じました。

 

そして、労災申請自体を諦めて、泣き寝入りしている人は、

もっと多いと思います。

何せ、申請自体が大変なんです。一人ではできません。

費用や、申請にかかるエネルギーを考えて、

泣く泣く黙っている人が一番多いのではないでしょうか。

 

そういう労災実務の状況自体おかしいと思いますし、

ましてや、寳田さんの事例のように、

請求人にいやがらせをするなど、言語道断です。

皆さんも、ぜひ寳田さんの事例をご覧になり、

できれば支援者として応援してください。

もちろん私もそうするつもりです。

 

支援については、こちらのページをご覧ください。

akenohoshi-rousai.com


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