うつ病のわたしからあなたへ 心レター

うつ病の療養から見えてきたこと、心の病を抱える方やご家族に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。特に、精神疾患での労災について、詳しく説明します。

うつ病労災有名事例 「東芝うつ病事件」

こんにちは、あやです。

寒い日が続きますが、いかがお過ごしですか?

インフルエンザやコロナなどの感染症

とても増えているそうです。

私はコロナの後遺症がおそろしくて

感染対策をずっと続けています。

おかげで一度もかからずに済んでいます。

皆さんもどうか安全に過ごしてくださいね。

 

さて、先日ふと労災申請当初のことを思い出しました。

申請を手伝ってくださった社労士さんが

私の話をひととおり聞いたあと、

東芝うつ病事件に似たケースだと思います」と言いました。

そのときは「へえ」と思っただけでしたが、

今になってどんな事件だっけ?と気になって

調べてみました。

 

すると、申請したご本人によるブログや、裁判の記録が見つかりました。

tsbrousai.net

こちらが裁判の記録のホームページです。

このサイトを参考に、事例を紹介してみます。

 

請求人の女性は、東芝で技術職として勤務されていました。

入社後10年目にして、新たな製品の製造ラインの責任者となります。

そのことで残業時間が増え、体調を崩していたのに、

さらに別の業務も上乗せされてしまいました。

 

休職し、一度復帰しましたが、ほどなくまた休職せざるを

えませんでした。

特筆すべきは、同じ業務に従事していた同僚が

この間に2人も自殺しているということです。

どれほど過酷な業務・環境だったか

このことだけでもうかがい知れます。

 

私もそうでしたが、この方も休職時に労災ではないかと

考え始め、いろいろな所に相談されています。

会社にも「労災だと思うから認めてください」と

申し出ておられますが、あれやこれやとはぐらかされたり

拒否されたりしました。

 

その後、休職期間が終了するタイミングで、

会社から解雇を言い渡されます。

本件、労災申請に止まらずに

裁判を起こされているのは、この解雇を無効にするためもあります。

 

弁護士さんに依頼して、労災申請と解雇無効の裁判をしていくのですが、

どれほど大変だったかと思います。

労災自体も、謎の理由で認定されず、

再審査請求まで進んでも棄却され、

結局裁判で争って認定されました。

偶然ですが、この事件の弁護団に参加していた

弁護士さんの1人が、私の審査請求以降を受けてくれた先生です。

 

裁判は原告勝利で終わりますが、

最高裁まで争う結果となっています。

地裁で原告勝訴してから、

企業側が控訴したためです。

結果、この方は実に12年の歳月を

労災や裁判で費やしておられます。

療養どころではなかったと思います。

くじけずに最後まで闘われたのは、

本当にすごいです。

 

私の労災事例と、この方との共通点は、

業務の振られ方だと思います。

プロジェクトの立ち上げ担当になったのも同じです。

立ち上げにも関わらず、人員が少ないのも同様。

そして、新規プロジェクトにトラブルはつきものです。

対応に追われ、残業が多くなり、プレッシャーも高まります。

なのに、別の業務も担当するよう、この方も無理を言われています。

 

私も、新規プロジェクトと、ほか自分が想定していた業務以外に

びっくりするほどたくさんの業務が、担当に割り振られていました。

年度はじめに担当の割り振りを書いた紙が配られるのですが、

それを見て愕然としたことを覚えています。

 

この東芝の方も、上司に業務の負担が大きいことを訴えていました。

私も上司に「無理です!」と言ったことがあります。

そして、この方も私も負担が減ることなく、

無理な業務を強いられました。

結果、うつ病で休職を余儀なくされたのです。

 

で、おかしいのは東芝の方の場合、

労基署で労災認定されなかったことです。

労基署は「長時間労働あり」「業務上の負荷あり」としながら

うつ病になるほどではない」と、

労災認定しなかったのです。

どういうこと?

ちょっと長く残業して、ちょっとしんどい仕事をしただけってこと?

 

現在でも、労災実務においては、

労基署によってばらつきがあり、

なぜこのケースが?というひどい事例でも

認定されない場合があります。

 

でも、この東芝うつ病事件が1つの大きな契機になって、

精神障害による労災実務が改善されたのは

間違いない事実でしょう。

精神障害の労災認定に使われる指針は

1999年に定められましたが、

2011年に改訂されて、現在の認定基準になっています。

東芝の件が労災認定されたのが

2009年なので、かなり影響を与えたと思われます。

 

裁判までするって、かなりの覚悟と気力が必要です。

お金もかかります。

それでも、おかしいものはおかしいと声を上げたこの方に

私は心からの敬意を表します。

 

許せない気持ちもあったと思います。

悔しい思いをそのままにしたくない気持ちもあったでしょう。

よくわかります。

つまるところ、個人の尊厳の問題なのですから。

職場のせいで病気になって、

体も心も壊されて、

人生の計画も狂って、

それをそのままにはできないという強い気持ちが

労働者を労災や裁判に踏み切らせるものだと思います。

 

現在、この東芝の方は、

会社に復帰することを目指しておられるようです。

とことんご自分の立場を回復するおつもりでしょう。

1日でも早く、その思いが果たされることを祈っています。

うつ病労災再審査請求 口頭陳述の内容3

こんにちは、あやです。

このところ立て続けにブログを更新していますが、

口頭陳述の内容はコピペなので

書くのが楽なのです(笑)

原稿のデータがありますので!

 

普段のペースと違うので、

もし心配してくださっている方がいたら

悪いなあと思って、一応お伝えします。

 

さて、再審査請求の口頭陳述シリーズ、

今回で最終回です。

けっこうたくさんの方が読んでくださっているようなので、

年内に終わらせようと思いました。

今まさに審査会を目前に控えている方もいるかもしれません。

そんな方の役に立つように、さっさと全部公開しています。

 

口頭陳述の内容1と2では、

再審査請求に及んだ経緯と、

労基署、労働局の裁定に対する

異議申し立てを記述しました。

今回は、争点となる「うつ病が治ったか否か」について

述べた部分です。

 

前回までと同じく、

具体名等は削除して掲載します。

読みやすいように、改行も増やしますね。

 

 今回、労災申請当時の主治医が意見書の「寛解の有無」の欄に「平成27年12月」と記入したことで、このように再審査請求に至るまでの見解の相違が労基署と当方の間に生まれてしまいました。「労災認定、ただし一部不支給」という判断は、精神障害の労災において極めてまれなケースだと思います。それは、主治医の記載により生じた問題です。このように極めてまれなケースを判断するにあたり、主治医に「寛解とは1日8時間の就労が可能であった状態か」をしっかりと確認しなかったことは、労基署の調査が不十分だったと言えます。そもそも「寛解」という曖昧な質問をすること自体、今回のような不当な判断につながります。きちんと「1日8時間の就労が可能であったか」と質問すべきです。

 ましてや、審査請求において、軽作業に従事することができたという点について、医師に確認をせず、担当官だけで判断したことは、重大な過失だと思います。医師でもないのに、なぜ愛犬のやけどが原因で新たな疾病が発症したとまで言えるのですか? 手続き上、そのような言い回しになるのだと弁解されるかもしれませんが、ここは医師の判断が不可欠でしょう。

 通常の復職においてさえも、主治医の診断書に加え、産業医との面談を行う二重のチェックが必要となるにも関わらず、本件の争点であることについて医師に確認をしないなどということは、極めてずさんと言わざるを得ません。

 また、今回の再審査請求に対する原処分庁の意見書には、「平成27年12月に症状固定」と書かれています。寛解ではなかったんですか? 次のページの「処分の理由」のところには寛解と書かれています。このように、原処分庁の見解には明らかな矛盾があり、私の病状を正確に把握して判断したのではないということは明白です。私の方は、当初から首尾一貫して、寛解でも症状固定でもなく、休業補償の要件を満たしていることを主張しています。労災審査の際に、私にしっかりと病状をヒアリングしていれば、このような曖昧な判断はなかったはずです。

 最後に、愛犬のやけどについてですが、主治医は意見書に「愛犬のやけどにより、かなりショックを受け、抑うつ感再度増となり」や、「愛犬のやけどまでは軽快してきていた」と記載しています。これは、愛犬のやけどが主治医にとっても印象的なできごとだったから、このような記載になったのだと思います。

 ですが、愛犬のやけど自体は、うつ病の病状に影響していません。もちろん、やけどをした当初はショックを受けましたし、心配で暗い気持ちになりました。ですが、その後の経過を見ていただければわかるとおり、これは通常の反応であり、うつ病が悪化や再燃したと言えません。「症状が軽快」と言っても、最悪のうつ状態を脱しつつあったという程度に過ぎず、とうてい就労可能な状態ではありませんでした。

 原処分の業務の過重性について、「新規事業の担当になった」が中と判定されたのにも不服がありますが、本日の主な争点ではないため、代理人意見書をご覧ください。具体的に確認されたい点があれば、質問にお答えします。

 このように、原処分庁や労働局の棄却の理由は極めて不当かつ正確さを欠くものであり、私の主張のほうが首尾一貫していることがおわかりいただけたと思います。審査会の皆様には、的確な判断をお願い申し上げます。

 

はい、これで終わりです。

1から3までで、A4用紙4枚分ほどのボリュームです。

これを読み上げるのに、10分程度かかりました。

 

私の場合はうつ病が治っていたかどうかが主な争点なので、

この最後の部分は「治ってたかどうか、ちゃんと医者にきけよ!」と

延々と主張しています。

私とほぼ同じタイミングで治癒関係の再審査請求をされた方も

労基署が勝手に治った判定をしたケースでした。

なんで勝手に決めるんでしょうね。迷惑すぎます。

 

ちなみに、上記の原稿中にある「愛犬のやけど」ですが、

家の中で起こったアクシデントで愛犬が

ひどいやけどを負ってしまったことを指します。

かかりつけの獣医さんが熱心に治療してくれたおかげで、

半年ほどで回復しました。

今は元気いっぱい、後遺症もなしです!

 

口頭陳述は、審査官に直接自分の考えを訴えるチャンスです。

念入りに準備して、もれやスキのない原稿を用意するといいです。

もちろん、原稿は弁護士さんにチェックしてもらいました。

長いから削ってと言われるかもと思いましたが、

私の場合は、ほぼ修正なしで当日に臨みました。

 

当日は、録音用のマイクがありますので、

そんなに大声を出す必要はなく、

普通にはっきりと読み上げれば問題ないかと思います。

 

これから再審査請求に臨む方、

労災申請する方、

その他何かしらの問題を抱える方に

この記事が少しでも役に立ちますように。

 


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